報道陣から質問を受ける神戸製鋼所の梅原尚人副社長(中央)。不正を「企業風土の問題」と答えてしまった (C)時事

 

 神戸製鋼所の品質データ改竄(ざん)問題が日を追うごとに深刻さを増している。第1報は10月8日。同社は都内で緊急の記者会見を開き、アルミ・銅製部材の強度や寸法などのデータを偽装していたと公表。当初対象製品の出荷先は約200社としていたが、1週間も経たない13日に、会長兼社長の川崎博也(63)が自ら会見で、ステンレス鋼や特殊鋼でも不正行為を確認したと明らかにした。祖業の鉄鋼事業への波及で出荷先は約500社に膨らみ、次々に表面化する同社の杜撰な体質に、取引先企業の間では疑心暗鬼が増幅。疑いの眼は海を越え、欧州航空安全機関(EASA)や米司法省など、欧米当局からも注がれている。

「病状の重さ」

 工場の自主点検で見つかったとされる一連の改竄は、今年8月30日に川崎以下の経営陣に報告があったものの、同社は1カ月以上も公表せず、所管官庁の経済産業省に指示されて、ようやく記者会見を開くに至った。とはいえ、10月8日は日曜日で、土曜日を含め翌9日の体育の日まで3連休の狭間だった。メディアは休日体制であり、おまけに10日は新聞休刊日。「不祥事のマスコミ露出を少なくしようと、あまりにも稚拙で性質(たち)の悪いダメージコントロール。この会社の体質をよく表している」と、関西財界に精通する全国紙のベテラン記者は酷評する。

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