ロシア版Facebookである「フ・コンタクチェ」では今も、2014年のロシア軍によるクリミア侵攻の動画を見ることができるが……(写真は「フ・コンタクチェ」より)

 

 前回は、ロシア政府がグローバル・インターネットインフラの「ロシア化」を進めようとしていることを紹介した(2017年10月5日「インターネット『主権』に拘るロシアの『執念』」)。つまり、インターネットを支えるインフラを原則的にロシア国内に置き、国民の通信監視を強化したり、有事の際にグローバル・インターネットから遮断されても、自律的に機能を維持できるようにする、ということだ。もちろん、これは多大なコストを伴うものだが、ロシア政府は依然としてその実現を諦めていない。

 今年8月、ロシア通信情報省は、その第1歩となる法案を議会に提出した。2003年連邦法第126号「通信について」(通信法)の改正案である。

 その主な内容は、海外との通信を行う通信ノード(パソコンやルーターなど、インターネットを利用するにあたり必要な要素)を登録制とすること、IPアドレスの付与状況とトラフィックの経路情報をデータベース化して管理すること、国家DNSルートサーバー(インターネット上のドメインの最上位情報を管理するサーバー)・システムをロシア国内に設置すること、などとされている。つまり、海外とのインターネット通信を政府が把握するとともに、そのためのインフラを登録制にすることを定める、というものだ。

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