「故宮」では並んで座っていた(C)AFP=時事

 

 日本、韓国を経て11月8日に北京入りしたドナルド・トランプ米大統領を、習近平国家主席は「国賓を超える待遇」で出迎えた。

 習近平主席は、世界最強国家の予測不能な振る舞いを見せ続ける大統領を北京のど真ん中に位置する故宮で待ち受けた。この時、習近平主席夫妻が南側を向いて遠来の賓客の到着を待っていたとしたら、トランプ大統領はメラニア夫人を伴い否が応でも北に向かって歩き出さなければならない。

 古来中国では君主は南に向いて座を占め、臣下は北向きに伺候するように君臣関係が可視化されてきた。この伝統的なプロトコールに由るなら、こぢんまりした形ではあったものの、自らを上位に置こうとする習近平主席の“野望”が隠された歓迎式典だったようにも思える。

 はたして中国当局は伝統的手法を用い両者の立ち位置を際立たせることで、両首脳の間に上下の格の違いがあることを浮かびあがらせようとしたのか。もちろん真相は不明だが、偶然に故宮が選ばれ、主人側が自然の流れに任せて客人をもてなそうと振る舞ったとは、やはり考え難い。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。