ケリー首席補佐官の「功績」が大きいのかも(C)AFP=時事

 

 11月5日の訪日を皮切りにはじまったドナルド・トランプ米大統領のアジア歴訪は、それまでの、矛盾だらけで混乱したメッセージを発してきた首脳外交にくらべて、かなり落ち着きを見せたものだった。少なくとも、日米韓でのトランプ大統領の講演ではアドリブが消え、プロンプターで事前に準備されたテキストを読み、物議を醸しだすツイートもなかった。それは、軍事オプションも俎上にある北朝鮮問題という深刻な課題があるからなのか、それとも安倍晋三首相から習近平中国国家主席まで、トランプ大統領を「気難しい王様」として持ち上げるアジア的な「接待外交」がもたらしたものなのだろうか。はたまた、ジョン・ケリー米大統領首席補佐官が苦心してもたらした政権内の規律が機能しだしたからなのだろうか。

 現時点での仮説としては、「北朝鮮問題の深刻さ」と「接待外交」が、ケリー首席補佐官が政権にもたらした一定の規律とも相まって、かつてない「波乱なき」外遊に繋がったといえるかもしれない。しかし、米国内からのトランプ政権を見る眼差しは依然として厳しい。また中国におけるトランプ大統領のソフトすぎる姿勢は、北朝鮮に対して緊張を高めすぎるという不安とは逆に、中国に譲歩しすぎて圧力が弱まり、北朝鮮の核開発を放置してしまうのではという不安すら与えるものになっている。

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