頼もしい自衛隊だが、頼るのには限界がある (C)時事

 

 11月12日、イランとイラクの国境地帯で発生したマグニチュード(M)7.3の巨大地震は、死者440人以上、負傷者8000人以上の被害をもたらした。その3日後、韓国では観測史上2番目というM5.4の地震が発生した。

「天災は忘れた頃にやってくる」と言う。東日本大震災を超える甚大な被害が予想される「南海トラフ巨大地震」を危惧するならば、わが国も備えを促進していかなければならない。「国難」を人災にしてはならないし、ましてやそれを選挙の看板に終わらせてはならない。

 我が国の防衛力は、専守防衛を基軸として定める「防衛計画の大綱」(以下「大綱」)を概ね10年を基準に見直し、「防衛計画の大綱別表」でその規模が示される。しかし政策面では、「大綱」の基軸や枠組みはそのままで、集団的自衛権の行使、PKO(国連平和維持活動)参加といった自衛隊の任務を拡大したため、数的な合理性が失われている。特に人的側面において、予測される巨大地震への対策で問題点が浮かび上がっている。

数字では測れない陸自「災害派遣」

 2011年の東日本大震災の時、捜索救助の対象となった死者・行方不明者は、岩手・宮城・福島3県で1.8万人余、この中で100人以上に及ぶ自治体は24市区町村に上った(2011年7月14日15時時点、JST=科学技術振興機構=調査)。また各県沿岸部では津波が住宅を流し、全壊戸数が宮城県で約8.3万戸、岩手、福島2県と合わせ11.7万戸を超え、救助活動は困難を極めた。

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