ニジェールで殉職したジョンソン軍曹の葬儀で、棺に口づけする妻のアエシアさん。トランプ大統領は悲しみに暮れる彼女に、電話でひどい言葉を吐いたという (C)APF=時事

 

 11月はじめに帰国することは1年前から計画していたが、初めて米軍横田基地に降り立つ米大統領の来日と同時期になるとは思いもしなかった。

 「U、S、A!」の大合唱に包まれて大統領専用機「エアフォースワン」からあらわれたドナルド・トランプが、米兵やその家族など約2000人の大歓迎を受ける。まるで我が家の庭へ到着したかのようである。その姿は、現在の日米関係を見事なほど如実に語っていた。

 壁一面に掲げられた巨大な星条旗の前で米軍のジャンパーに着替えた大統領は、北朝鮮を威嚇するように、満面の笑みを浮かべてこう言い放った。

 「敵は心底恐れている」

 「誰であれ、どこの独裁者であれ、どの政権であれ、どの国であれ、米国の決意を過小評価することはできない」

 生バンドのロックンロールが大音響をたてる格納庫には、日本の航空自衛隊300人の姿も交じっていた。一体、彼らはどんな気分でこの騒ぎを見つめていたのか、わたしには憶測もつかない。彼らは「USAコール」に参加するわけにもいかず、かといって大統領の来日を歓迎しないわけにもいかない。曖昧な笑顔で取り繕うしかなかったにちがいない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。