内心はかなり焦っているのではないか(C)AFP=時事
 

 前回(「軍人の『SNS規制』ロシア『デジタル経済ドクトリン』の眼目」2017年10月31日)は、通信回線などを中心としたインターネット・インフラが「ロシア化」されようとしている状況について解説した。そこで今回は、インフラからソフトウェアへと目を転じてみたい。

 ロシアにおいてソフトウェア、特に官公庁や国が出資する企業のデジタル機器やソフトウェアの国産化が重視されていることは、前回、「デジタル経済ドクトリン」に関連してすでに触れた。官公庁や機微な製品を扱う企業の業務用ソフトウェアに密かに「バックドア」が開けられており、機密情報が流出するかもしれない……このような懸念は、インターネット時代の初期から存在していたし、2000年に策定された「情報安全保障ドクトリン」には早くもそのような記述が見られる。

 この種の情報戦はもちろん現在も続いている。「スノーデン亡命事件」で明らかになった米NSA(国家安全保障局)の活動からも窺えるとおり、ハッキングによる情報入手工作を行っているのは何もロシアだけではない。このほかにもメドヴェージェフ大統領(当時)が2012年に訪英した際には、英国の情報機関が同大統領の電話を盗聴していたとされる。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。