パウエル「新FRB議長」はトランプ大統領の傀儡か

執筆者:鷲尾香一2017年11月22日
トランプ大統領が次期FRB議長に指名した、パウエルFRB理事(右)(C)EPA=時事

 

 拙稿「FRB『資産縮小』でも米金融政策『崩壊』の瀬戸際」(2017年9月26日)でその可能性を指摘していたのだが、FRB(米連邦準備制度理事会)の議長が交代する。ジャネット・イエレン現議長が来年2月の任期切れをもって退任し、後任にはジェローム・パウエルFRB理事が就任することになったのだ。

 ドナルド・トランプ米大統領は11月2日、FRBの次期議長にパウエル理事を正式に指名した。大統領はイエレン議長を交代させることで、オバマ前政権からの政策転換を強く印象付けようとしている。しかもパウエル理事は、FRBの現執行部では唯一の共和党員だ。ただ前掲記事でも述べたように、この人事で米国の金融政策は崩壊の危機を迎えるかもしれない。

白人至上主義との確執

 イエレン議長は1期4年で退任することになったわけだが、1500日弱という在任期間は、現在のFRBの体制がスタートした1935年以降、3番目の短さだ。5期18年間議長の職にあったアラン・グリーンスパン元議長のケースは異例としても、FRB議長は1期で終わらず、再任されて続投するのが習わしとなっているので、その意味でも異例の短命ということになる。

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