「下手な連立合意をするくらいなら、野に下った方がいい」と話し、メルケル政権との連立交渉を打ち切ったリントナー自由民主党党首(左) (C)AFP=時事

 

 ドイツでこの1カ月余り行われていた「ジャマイカ連立」に向けた交渉が、11月19日、頓挫した。「ジャマイカ連立」とは、アンゲラ・メルケル首相率いる「キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)」と「自由民主党(FDP)」、「緑の党」の3党による連立であり、それぞれの党のシンボルカラー「黒」「黄」「緑」が、ジャマイカの国旗と同じ色であることからそう言われる。FDPのクリスティアン・リントナー党首は、19日夕刻を交渉の期限としていたが、それまでに合意に至らなかったとして、同日、連立交渉打ち切りを宣言した。その結果、ドイツの政治はがぜん不透明感を増すこととなった。

4つの選択肢

 今後の可能性としては4つ。第1は、CDU/CSUと「緑の党」が連立成立を優先し、FDPに更なる譲歩を提示することだが、これは可能性が低い。今回の交渉決裂は環境政策、財政政策などの相違も原因とされるが、決定的だったのが「難民政策」である。「CSUとFDP」対「緑の党」という図式の中、緑の党が、ドイツに入国した難民の家族呼び寄せに関し20万人の受け入れ枠を要求したのに対し、CSUとFDPが断固反対した。なかんずく、ミュンヘンに拠点を置くCSUは難民問題で最も打撃を受けたところであり、来年のバイエルン州議会選挙を考えれば、難民に対する強い姿勢はどうあっても譲れない。元々反難民のFDPがこれを後押ししたこともあって、両党は「緑の党」と最後まで折り合うことができなかった。そういう3党が、改めて妥協点を見出すというのは現実的でない。

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