日本ではまだまだ「高速充電」のインフラ整備が遅れている(ロンドン市内)(C)AFP=時事

 

 かつての「石油は枯渇する」ことを前提とした「ピーク・オイル論」は影を潜め、今では需要が供給より先にピークを迎えるという「新ピーク・オイル論」が主流の考え方になっている。だが、「ロイヤル・ダッチ・シェル」(以下、シェル)を含むスーパーメジャー各社の長期予測も、IEA(国際エネルギー機関)やOPEC(石油輸出国機構)の長期展望も、今から2035年や2040年までの間にはまだ「ピーク」は来ない、という見方で一致している。いつか来る、だが、まだだ、というわけだ。

 もちろん、もっと早く来る、と主張する人も多い。

 たとえば、資源エネルギー庁が「エネルギー基本計画2017」策定作業の一環として行っているエネルギー情勢懇談会に招聘されたポール・スティーブンス氏(英国王立国際問題研究所特別上席フェロー)もその1人だ。同懇談会で配布した「参考資料」の1つである「資源と地政学(Resources and Geopolitics)」によれば、彼の論点の1つは、現在「エネルギー移行期(energy transition)」にあるのは間違いがないが、「エネルギー業界の支配者層(energy establishment)によって過小評価されている(underestimated)」というものだ。

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