「北朝鮮危機」対処の処方箋(上)「テロ支援国家再指定」で米国が手に入れた「先制攻撃」の口実
2017年12月12日
11月29日午前3時18分頃、北朝鮮は平安南道平城付近から弾道ミサイル1発を発射した。
そして金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、北朝鮮はこのICBM(大陸間弾道ミサイル)「火星15」の発射成功をもって、「国家核武力完成の歴史的な偉業、ミサイル強国の偉業が実現した」と宣言した。
北朝鮮のこの挙に対し、ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウスで記者団に、「この状況にわれわれは対処していく。非常に深刻な事態だととらえている」と述べた。
メディアはこぞって「非常に深刻な事態」という言葉を大きく取り上げた。だが筆者が注目したのは、大統領が同時に発した「われわれの対応は何も変わらない」という一言だった。
メディアはこの「われわれの対応」について、「北朝鮮に対する圧力を最大化するというアメリカの方針を維持していく考え」と解説しているが、本当にそれだけなのだろうか。
筆者はそれだけではない、と考えている。拙稿(2017年5月8日「対『北朝鮮ミサイル』防衛論(上)『先制攻撃』がない『理由』」)でも論じたように、北朝鮮問題は米朝の直接交渉によってではなく「中朝交渉」で解決するべきだ、というのが、トランプ政権発足以来の、米国の一貫した「われわれの対応」なのだ。
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