コードネーム「007」の謎に迫る(上)

執筆者:竹田いさみ2017年12月14日
6代目ボンド、ダニエル・クレイグの「デビュー」作が『カジノ・ロワイヤル』だった

 

 イギリスのスパイ映画『007』シリーズに登場する秘密工作員ジェームズ・ボンドには、「007」のID番号が与えられている。ボンドは、原作者イアン・フレミングが世に送り出したスパイ小説の第1作『カジノ・ロワイヤル』(ロンドンで1953年に初版)で初めて登場した。日本では『007/カジノ・ロワイヤル』(東京創元社、1963年)の中で、「英国秘密情報部員」として描かれている。

「情報部員」ではなく「工作員」

 日本語訳では「秘密情報部員」とすることが多いが、この連載では、あえて「秘密工作員」と表現している。というのも、ボンドは情報収集が主たる任務ではなく、あくまで秘密工作を専門とするフィールド・エージェントだからだ。秘密工作員は、機密情報を収集する諜報活動にとどまらず、銃器や爆発物を使用しての破壊活動や奪還作戦などが専門のエージェントなのである。

 こうした特殊作戦を遂行できるエージェントに、原作者イアン・フレミングは「00」のID番号を与え、かれらが所属する秘密諜報機関「MI6」の特殊作戦チームを「00課(セクション)」として描いた。

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