8月におこなわれた陸上自衛隊の総合火力演習。その姿はもはや…… (C)時事

 

 12月6日、第195回特別国会参議院憲法審査会が開催され、約1年ぶりに改憲議論が行われた。その場で自民党は衆院選の公約にも掲げていたいわゆる「改憲4項目」(憲法9条への自衛隊明記、緊急事態条項の新設、教育の無償化・充実強化、参院選の合区解消)への理解を求めたが、与党公明党からでさえ慎重論が相次ぎ、むしろ合意形成の困難さが浮き彫りになった。

 この「改憲4項目」のうち1項目については、今年6月24日、安倍晋三首相が神戸市で行った講演内容が想起される。当時首相は、「憲法改正自民党案」の提出時期を、秋から年内の「臨時国会が終わる前に、衆参両院の憲法審査会に自民党案を提出したい」と話し、さらに「自衛隊の明記」については、「9条1項(戦争放棄)、2項(戦力不保持、交戦権の否認)はそのまま残し、自衛隊の意義と役割を書き込む改正案を検討する」と明言した、と報道があった(6月24日『毎日新聞』)。

 しかし、この度の憲法審査会の質疑項目では、次の議論が記されているのみである(要約文責筆者)。

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