長年、韓国社会を眺めてきた目にも意外なほど拡がった大規模デモ。味をしめた守旧左派勢力は、これからも“ロウソク”を掲げるはずだ。[ソウル発]韓国で五月以来続いている米国産牛肉輸入反対の大規模な反政府デモは、発足間もない李明博政権の意外な弱体ぶりを内外に印象付けている。昨年末の大統領選で圧勝し、四月の総選挙でも過半数を占めるなど、安定政権としてスタートしたはずなのに、この動揺(?)ぶりはなぜか。 ひとことでいえば、今回の事態は左派から右派へ、革新系から保守系へという、十年ぶりの政権交代の過渡期的な初期段階に、旧勢力の左派・革新サイドによる巻き返しとして展開された、新政権揺さぶり第一弾だった。 政権交代を実現した李明博政権としては、国家体質あるいは国家経営におけるこれまでの左派色を除去、払拭しようとしていた矢先に、奇襲攻撃を受けたようなものである。いわば政権交代の祝杯のスキを衝かれたようなものだ。あるいは勝利に安心(慢心?)し、抵抗勢力としての左派勢力の力を甘く見て、目配りを欠いたというか。 李明博・保守政権に対する、左派主導の旧政権勢力からの巻き返し、反撃、揺さぶりは、当然、予想されたものだ。それが左派にとっては意外に早くそのチャンスが到来し、予想外というか望外の展開となった。牛肉問題が新政権を揺さぶるほどの政治問題として浮上するとは、攻める側、守る側とも想像していなかった。

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