台湾の新聞『りんご日報』の紙面で報じられた、呉氏の香港行きが拒まれたニュース

 

 いま台湾と香港を騒がせているのは、香港民主化に対して支援や協力をしてきた台湾の学者や文化人が、香港への入境を相次いで拒否されているという問題である。

文化人や研究者の「入境拒否」

 12月16日、台湾の中央研究院台湾史研究所副研究員の吳叡人氏と、中央研究院社会学研究所副研究員の呉介民氏が、香港中文大学の学生会が主催するシンポジウムのゲストに招かれて、インターネットから香港の入境ビザを申請したところ、発給を認められなかった。また、12月上旬にも台湾の文化団体「中華文化総会」副秘書長の張鐵志氏も入境できなかった。彼らはいずれも香港の民主化運動や「雨傘運動」(2014年に起こった、香港政府に対する民主化要求デモ)の活動家と近い関係にあるか、言論界で香港の運動をサポートする発言を重ねていたことから、「黒名単(ブラックリスト)」に入れられたとみられる。

 実は筆者は、11月末に台湾から日本に向かう飛行機でたまたま吳叡人氏と乗り合わせた。その折に吳氏は、「12月に香港に行くのだが、ビザが下りるかどうか、ちょっと心配なんだ」と不安を漏らしていた。これまで台湾から香港への入境を拒否される人々は、主に政党関係者や台湾の「ひまわり運動」(2014年、学生の立法院占拠に端を発した社会運動)の活動家だったので、筆者は「学者だから大丈夫じゃないですか」と答えておいたのだが、それは甘い見方だった。

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