何とも不思議な印象を抱かせる美女写真だが……(『亜洲週刊』2017年12月10日号より、筆者提供)

 

 香港で発行されている中文(中国語)週刊誌『亜洲週刊』(2017年12月10日号)の特集記事「ヴェトナム花嫁の中華伝奇 台湾海峡両岸とマレーシアを心で結ぶ」の中の1枚のカット写真を目にした時、どことはいえないが、不思議な思いがした。

 和室である。畳の上に置かれたテーブルに腰を掛け、ニッコリと口元をほころばせる若い女性。キリッと引かれた眉、正面を見据える大きな黒い瞳、ふくよかな頬を包むように肩まで垂れる艶やかな黒髪。胸一面と袖口と裾に描かれた派手な花模様が、アオザイの白さを一段と引き立てている。腰の辺りから裾に向かうスリットの直線が女性らしい体の曲線を際立たせ、柔和ながら凛とした雰囲気から、たおやかさも伝わってくる。

世界に飛び出した『亜洲週刊』

『亜洲週刊』に最初に接したのは、たしか同誌が発刊されて間もない1980年代後半だったように思う。当時の誌面は、同じく香港で発刊されていた英字週刊誌『Asia Week』が伝える記事の翻訳を柱に構成されていたのだが、肝心の『Asia Week』の内容が、中国を軸にした東アジア地域の報道をリードしていた英字週刊誌『Far Eastern Economic Review』に較べて格段に劣っていたため、パラパラとページを繰っただけでゴミ箱へ。あまり役に立ちそうになく、俗にいう「3号雑誌」の運命は免れないだろうと思ったものだ。

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