かつての“政治家の利権がらみ”から、資源戦略型へとようやく転じた対アフリカ外交。だが、「中国と同じ」と言われないためには――。 サハラ砂漠以南アフリカ(以下アフリカ)では近年、資源開発に牽引された経済成長が本格化し、二〇〇七年の経済成長率は六%に達した。五年に一度のアフリカ開発会議(TICAD)と主要国首脳会議(サミット)の日本開催が重なった今年、日本政府はアフリカ経済の成長という新しい現実に対応すべく、新しいアフリカ支援戦略を打ち出した。 五月二十八日から三十日にかけてアフリカ五十一カ国の首脳らを集めて横浜市で開催された第四回アフリカ開発会議(TICADIV)は、日本が対アフリカ援助外交の転換へ踏み出した会議となった。敢えて言えば、アフリカが解決すべき諸課題を羅列した共同文書を採択する従来のスローガン型外交から、援助によって民間企業のアフリカ進出を後押しし、資源確保への道筋をつける戦略型外交への転換である。七月七日から九日まで開かれた北海道洞爺湖サミットでは、主要八カ国(G8)がアフリカ支援の強化で一致した。 福田康夫首相がTICADIVで発表した支援策は、(1)五年間で政府開発援助(ODA)倍増(2)五年間に四十億ドルの円借款を供与(3)進出企業のために五年間に二十五億ドルの金融支援を実施し、アフリカ向け民間投資を倍増する――など。日本企業の対アフリカ投資・貿易を後押しするため、円借款や貿易保険をフル活用する内容だ。アフリカを援助対象地と捉える従来の発想ではなく、民間投資でアフリカ経済の成長を加速し、原油や稀少金属などの供給地としてアフリカを位置付ける狙いが読み取れる。

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