9月のドイツ総選挙で大躍進した、極右政党AfDのアレクサンダー・ゴーラント党首 (C)AFP=時事

 

 2017年を振り返ってみると、ドイツ政治は一変したと言わざるを得ない。9月の総選挙で、「ドイツのための選択肢」(AfD)が12.6%もの大量得票で連邦議会進出を果たしたことと、そのあおりを受けてキリスト教民主社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)の老舗中道政党が共に大きく得票数を減らしたということ、つまり、ドイツ政治が穏健な中道政党中心から過激な両極勢力であるAfDと左派党を交えた6党体制(CSUを別に数えれば7党体制)に移行したということの意味は、強調してもし過ぎることはない。

 現在、アンゲラ・メルケル首相はSPDとの大連立を交渉中だが、ドイツメディアはこれを「石器時代の連立(Die Paläo-Koalition)」とこき下ろしている。メルケル首相が求めていたCDU/CSU、自由民主党(FDP)、緑の党によるジャマイカ連立が頓挫し、また、下野を公言していたSPDが、諸般の事情から前言を翻しての連立交渉参加とあっては、確かに新鮮味も何もあったものではないだろう。ドイツメディアはCDU/CSUとSPDを「敗者連合」とまで言う。戦後ドイツの安定を担ってきた中道勢力の凋落を表す言葉として、これ以上辛辣な表現はない。

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