ソ連時代に屈辱的な撤退をしてから二十年、ロシアが再びアフガニスタンに戻りつつある。六月十九日と二十日の二日間、モスクワで開かれた米露対テロ作業グループ(CTWG)会合で米露が原則合意したもので、アメリカとNATO(北大西洋条約機構)の要請を受け、ロシアがアフガニスタン国軍に軍事物資を提供することになっている。 とはいえ、実際にはロシアはこれまでも密かにアフガニスタン軍に武器を提供してきた。 NATO側にとって重要なのは、今回ロシアが、食糧やその他の「殺傷兵器」ではない貨物に限って、NATOがロシアを通過してアフガニスタンに運ぶのを許可したことだ。アフガニスタンに届けられる物資の七割はパキスタンを通るか空路運ばれるが、タリバン残党の攻撃によってどちらも危険が増していた。 ロシアがアフガニスタンへの関与を深めるのはなぜか。自国の南に不安定地域を抱えるロシアとしては、関与によってNATOがアフガニスタンの治安が固まる前に撤退しないようにする狙いがあるとの分析が一つ。他方、アフガニスタンでの負担を肩代わりする見返りに、ウクライナやグルジアを加盟させようというNATOの東方拡大戦略を牽制する意図があるとの見方もある。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。