三井住友銀行が英国の大手銀行バークレイズとの資本・業務提携を発表した。みずほコーポレート銀行も米銀大手のメリルリンチへの出資を決めており、サブプライムローン問題で傷ついた欧米金融機関に邦銀が助け舟を出した格好だ。バブル崩壊後に海外で戦線縮小を余儀なくされた邦銀の関係者の間では「攻守が入れ替わった」との声が上がっている。 こうなると注目が集まるのはもう一つのメガバンク、三菱東京UFJ銀行の出方だ。関係が親密だったメリルリンチをみずほにさらわれた際には「出し抜かれた」(三菱UFJ幹部)と大きなショックを受けたが、さらに三井住友にも先を越され、焦りの色が濃くなっている。 メリルリンチ以外の提携相手として有力視されてきたのが、同じく親密な米金融大手のシティグループとモルガン・スタンレー。ただ、シティとはこれまでも資本提携構想が何度となく浮上したが、ネックとなっているのが、シティが完全子会社化し三菱とは関係が良くない日興コーディアルグループの存在。また、投資銀行のモルガン・スタンレーについても、「事業面の相乗効果を考えるなら相手は商業銀行が望ましい」(同幹部)との慎重論が強いという。 そこでささやかれるのが、三菱UFJは子会社である米西海岸の有力銀行ユニオン・バンク・オブ・カリフォルニア(UBOC)を通じて、米国内の中堅銀行や地銀に手を伸ばすのではないか、との見方だ。同行関係者も「UBOCを通じて出資や事業提携を幅広く模索するやり方もある」と語る。

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