ロシア軍による基地化が進む、千島列島中部のマツア(松輪)島

 

 北方領土など千島列島の戦略的価値を重視するロシア軍が、昨年までに国後、択捉両島での施設近代化を突貫工事で完了し、今年は千島列島中部のマツア(松輪)島と北部のパラムシル(幌筵)島に新しい軍事基地を建設する予定だ。

 米露関係の悪化が背景にあり、ロシアは対米核戦力の聖域となるオホーツク海防衛のため、千島列島の要塞化を図ろうとしている。ウラジーミル・プーチン露大統領も、安全保障環境の改善が北方領土返還の条件としており、領土問題解決のハードルを高めている。

国後、択捉の基地を再建

 2016年11月、ロシア軍が択捉島に最新鋭の地対艦ミサイル「バスチオン」(射程300キロ)を、国後島に新型地対艦ミサイル「バル」(射程130キロ)を配備したと、太平洋艦隊機関紙が報じた。両ミサイルは大型艦の破壊に効果があるとされ、米空母機動艦隊を標的にしている。老朽装備が目立つ北方領土の兵器が更新されたのはソ連崩壊後初めてと見られる。

 プーチン大統領訪日1カ月前の配備は、対日けん制の要素があったのは間違いない。あるいは、領土割譲に反対する軍部が大統領に譲歩させないよう、兵器配備で圧力をかけた可能性もある。

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