ナディア・シャドロウ大統領次席補佐官

執筆者:足立正彦2018年1月29日
 

32.ナディア・シャドロウ国家安全保障問題担当大統領次席補佐官(戦略担当)

 1月中旬のディナ・パウエル国家安全保障問題担当大統領次席補佐官(戦略担当)の辞任に伴い、後任として就任した。起用を決めたのはH.R.マクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)であるが、前任のパウエル氏も自らの後任として推挙していた。

 2017年4月にマクマスター氏の要請により国家安全保障会議(NSC)上級部長(政策担当)に就任。同年12月にトランプ政権が公表した「国家安全保障戦略(National Security Strategy)」の草稿では、マクマスター氏の指示に基づき中心的役割を担うなど、同氏の信頼が厚い。

 博士号を持ち、学術的専門性に非常に優れた人物であり、そうしたものをNSCに持ち込む点はまさにトランプ政権に欠如していた部分であり、期待されている。その一方で、前任のパウエル氏と比較すると、パウエル氏はドナルド・トランプ大統領自身やジャレッド・クシュナーイヴァンカ・クシュナー夫妻、他の大統領側近らといったトランプ政権の「インナーサークル」、またジェイムズ・マティス国防長官スティーブン・ムニューチン財務長官ら主要閣僚とも強固な関係を構築しており、さらにエジプト生まれということもあって、中東政策関連の強固なネットワークを持っていた。対照的にシャドロウ氏の場合は、マクマスター氏以外には大統領側近らとはパウエル氏ほどには強固な関係を築いておらず、専門地域もロシア、欧州が中心である。そうした人物が大統領次席補佐官を務めることによって、今後トランプ大統領やマクマスター氏との関係、あるいはNSC自体の機能がどのように変化するのかが注目されている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。