「オレンジホームケアクリニック」の談話スペース。クリニックというよりカフェのような雰囲気。患者・家族が利用することもある(筆者撮影、以下同)

 

 1月13日、福井市を訪問した。7年ぶりに積雪70センチの大雪が降った日だった。

 目的は2011年2月に開設された「オレンジホームケアクリニック」という在宅専門クリニックを訪問し、そこで開催されるシンポジウムに出席することだった。

クリニックのオフィスフロアもお洒落

 私はクリニックを一目見て、度肝を抜かれた。クリニックは実に快適だ。このスペースをスタッフだけでなく、患者・家族も利用するという。

 総勢60名のスタッフは若い人が多く、活き活きと働いている。医師不足のなか、医師は6人(常勤医は5人)だ。ジェネラルマネージャーの増永英尚氏はマスコミに勤務していたが、「取材して、ここで働きたいと考え、転職した」そうだ。不思議な魅力のある組織だ。

 彼らが約300人の在宅患者をフォローしており、毎年100人程度を看取る。

クリニック代表の紅谷浩之医師

 さらに障害児施設(オレンジキッズケアラボ)や地域住民の交流の場(みんなの保健室)も設けている。代表を務める紅谷浩之医師は、「在宅医療が『病気』を診るツールだとすると これらの場所や仕組みは『生活』そのものを支え、つながりを創るものだと考えています」と言う。

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