北朝鮮が核計画の申告書を提出。それを受けてブッシュ米政権は北朝鮮の「テロ支援国指定」の解除手続きを開始――という一連の動きに対し、日本の知識人もメディアも厳しく批判している。 だが、その裏で神経質な情報戦争が繰り広げられつつあることを日本の大手メディアはほとんど伝えていない。 まず、北朝鮮が米国に手渡した寧辺の黒鉛減速炉などでのプルトニウム生産に関する一万八千八百二十二ページの稼働記録文書だ。 北朝鮮が五月、米側に引き渡したこの分厚い文書を米情報機関は綿密に調べた。米中央情報局(CIA)やエネルギー省情報・防諜部の専門家が駆り出されたとみられる。 文書に書かれた内容だけでなく、一ページごと紙質を調べ、何か微粒物質が付着していないか検査したのだろう。恐らく指紋の検出も試みたに違いない。 その結果、驚いたことに、微量の高濃縮ウランが文書から検出されたのである。 実は、米情報機関が高濃縮ウランを北朝鮮の機器から検出したのはこれが初めてではない。昨年末、「ウラン濃縮用遠心分離機の機材か」と問題になったアルミ管からも濃縮ウランが発見された。このアルミ管は、北朝鮮がロシアから調達した。北朝鮮側はミサイル用だと主張し、昨年米外交官をミサイル製造施設に招き、アルミ管のサンプルを米国に持ち帰らせた。米国内の研究所で調べたところ、濃縮ウランが付着していた。

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