実は巧妙に軌道修正しているようにもみえる(C)AFP=時事

 

 2017年1月3日、筆者はフォーサイトで、トランプ政権が誕生しようとする際に大いなる不安を正直に記した(「波乱必至:予測不能の『トランプ政権』を予測する手掛かり」参照)。自分を含め、メディアや有識者がドナルド・トランプ候補の勝利を予想できなかったのは、トランプ氏のような、政治経験がないだけでなく人格的にも社会的にも多くの問題を抱えている候補を、米国の有権者が大統領に選ぶとは信じたくなかったため、願望が目を曇らせたと反省した。

 そして、本来ならば大統領候補は、利益相反回避のためのビジネスや資産の処理を事前に準備するはずだが、トランプ氏にその準備と覚悟がなかったことを挙げ、トランプ氏自身に直前まで大統領に選ばれるとは考えていなかったふしがあると指摘した。また、選挙中、政策アドバイザーチームも中身重視で作ってこなかったため、個別の政策はともかく、政策の体系的な調整が、経済・内政においても外交・安保政策においてもされていないので、その方向性は予想できず、トランプ大統領が世界の波乱要素であるとした。

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