チェコで学ぶ医学生が感じる欧州「ポピュリズム」の波

執筆者:医療ガバナンス学会2018年2月9日
急激に台頭した右派オカムラ氏と、首相に就任したバビシュ氏それぞれのTwitter(筆者提供)

 

【筆者:坂本遥・チェコ共和国国立パラツキー大学医学部生】(略歴は本文末尾)

 日本で昨年10月22日に投開票が行われた衆議院選挙と同じ時期に、私が医学を学んでいるチェコでも総選挙(下院、定数200)が行われました。事前調査では「チェコのトランプ(米大統領)」と呼ばれているアンドレイ・バビシュ氏の支持が高いと報道され、今後EU(欧州連合)にどのような影響を与えるか懸念されていました。2017年はEU内の様々な国で選挙が行われました。これらの選挙を通じて感じられた、右派ポピュリズムの台頭について述べたいと思います。

チェコの選挙結果

 2013年に行われた選挙では、中道左派政党である「チェコ社会民主党(CSSD)」が20.5%、バビシュ氏が率いる中道右派政党の「ANO2011」は18.7%の票を獲得していました。選挙後、CSSDはANOと「キリスト教民主同盟=チェコスロバキア人民党(KDU–CSL)」と連立を組み、2017年5月までCSSD党首ボフスラフ・ソボトカ氏が首相を、バビシュ氏が財務大臣を務めていました。しかし、政敵でもあったバビシュ氏に不正疑惑が発覚したことで軋轢が生じ、ソボトカ氏が内閣総辞職を表明し、今回の選挙に至りました。

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