移牧民や遊牧民が墓や祭祀施設に立てた『人形石柱』。こうした石柱・石板などはアラビア半島各地に残っている  前3500~前2500年頃 カルヤト・アルファーウ出土 サウジアラビア国立博物館蔵

 

 アラビア半島は、古代から重要な交易路が張り巡らされ、諸文明が繁栄してきた。このアラビア半島の大部分を占めるサウジアラビア王国は、アラビア語で「サウード(家)によるアラブ(の王国)」という意味を持つ専制君主国。マッカ(メッカ)とマディーナ(メディナ)というイスラーム教の2大聖地を擁するイスラーム世界の中心的存在だ。

 サウジアラビアは1972年、国内の考古学の重要性を考慮し、現「サウジアラビア国家遺産観光庁」(長官はスルターン・ビン・サルマーン王子)の前身となる「サウジアラビア考古最高評議会」を設置。その40年あまりの考古学的調査、発掘活動で発見された考古遺跡は、1万カ所を超えるという。

 1月23日から東京国立博物館で開催されている『アラビアの道―サウジアラビア王国の至宝』では、サウジアラビア国内の博物館の収蔵品から選ばれた400件以上のまさに「至宝」と言える貴重な文化財が、日本で初めて公開される。前期旧石器時代に加工されたアジア最古級の石器をはじめ、約5000年前に砂漠に立てられた『人形石柱』、ヘレニズム時代、ローマ時代に栄えた古代都市の出土品、イスラームの聖地マッカの『カァバ神殿の扉』、サウジアラビア初代国王の遺品など旧石器時代から現代まで、数千年にわたるサウジアラビアの躍動の歴史と文化を今に伝えている。

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