2008年6月、第一三共によるランバクシー買収を発表するマルビンダー・モハン・シン氏(左)。右は庄田隆・第一三共社長(当時)(C)AFP=時事

 

 インド最大手の病院チェーンで、海外での派手な企業合併・買収(M&A)で知られた「フォルティス・ヘルスケア」のオーナーであるマルビンダー・モハン・シン会長兼社長とシビンダー・モハン・シン副会長の兄弟が、日本の製薬会社大手「第一三共」へのランバクシー・ラボラトリーズ株売却を巡って巨額の賠償を命じられたほか、不正な資金流用疑惑の渦中に追い込まれている。

 2008年に第一三共が買収したランバクシーでは、直後から工場の安全管理などで相次ぎ問題が発覚し、米食品医薬品局(FDA)の輸入差し止めや制裁などで買収はあえなく失敗。その背景には、シン兄弟による重要事実の隠ぺいがあった、と指摘されていた。それだけに、「被害者」の第一三共はもとより、日本の関係者にすればまさに「天罰」とも言える事態にさぞかし溜飲が下がったかもしれないが、一連のドタバタは単なる「悪意ある経営者の末路」として片づけられない問題をはらんでいる。インドにおけるビジネスの難しさを改めて思い知らせたと言えるだろう。

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