2014年大統領選挙と同じ対決になるか(右・ジョコウィ大統領、左・プラボウォ氏)(C)AFP=時事

 

 インドネシアの2018年は「政治の年」だと言われている。次の国政選挙(大統領選挙と議会選挙)が行われるのは2019年4月なので、のんびり気質のインドネシア人にしては気が早いことと思われるかもしれない。しかし、実際に「政治の年」を実感させる動きがすでに見られている。今年から来年にかけて、政治も経済も2019年の選挙を意識しないわけにはいかないだろう。

前哨戦は「6月の地方首長選」

 今年が「政治の年」と言われるのは、2019年4月の投票日に向けて選挙に関連するスケジュールがすでに目白押しだからである。まず6月には、第1級自治体の州と第2級自治体の県・市あわせて171の地方自治体で首長選挙が一斉に実施される。この中には、西ジャワ、中ジャワ、東ジャワ、北スマトラなど有権者が1000万人を超える大票田の州や、南スラウェシ州など東部インドネシア9州での州知事選挙が含まれている。6月27日の投票日に向けた選挙戦も、2月15日から始まった。

 各政党とも、この地方首長選を2019年の国政選挙の「前哨戦」と位置づけており、選挙での勝敗だけでなく、党組織がどれだけ機能するか、選挙戦略がどれだけ有効かが問われるものとなる。昨年の首都ジャカルタ州知事選では、国政与党が推す現職州知事が、イスラーム保守派によって「反イスラーム」であると激しい攻撃を受けた末に敗北したが(ジャカルタ州知事選については、2017年3月16日「インドネシア『イスラム教急進化』の実相(上)『大苦戦』したジャカルタ州知事」、2017年3月18日「インドネシア『イスラム教急進化』の実相(下)『保守派』を抑えたジョコウィ政権」、2017年5月1日「『ジャカルタ州知事選』で顕在化したインドネシア『イスラム保守派』の政治力」を参照)、この時にイスラーム保守派の動きに便乗して当選を果たした候補を推していたグリンドラ党と福祉正義党(PKS)は、今回も17州のうち8州の知事選で選挙協力を行っている。これらの中には、上述の西ジャワ州、中ジャワ州、北スマトラ州なども含まれている。今回の首長選挙でも宗教的分断を煽って支持を調達するような手法が試みられるのか、が注目のポイントとなる。

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