ドイツ「2大政党」凋落で始まる「地殻変動」

執筆者:花田吉隆2018年3月1日
SPD次期党首のアンドレア・ナーレス氏。党員の突き上げをかわせるのか (C)EPA=時事

 

 3月4日に大連立が成立するとして、これはドイツ政治の大変動の幕開けになるのだろうか。

 社会民主党(SPD)の凋落が止まらない。キリスト教民主同盟(CDU)はアンゲラ・メルケル首相の権威が失墜した。ともに、党の下部組織が上層部を突き上げ、執行部の抑えもままならない。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の発達もあり、政治の風土は一変してしまったのか。ドイツでは、長く2大政党が政治の帰趨を握っていた。今や、その2大政党で過半数を割る事態にすらなっている。明らかに2大政党の地盤沈下が著しい。それはドイツが誇ってきた政治の安定が終わり、不安定の幕開けを意味する。政党は民主主義にあって、国民の声を政治の場に伝え、それを政策に反映する機能を果たしてきた。国民は政党を通じ、政治の過程に参加してきた。今、政党が果たしてきた機能が問われている。国民は政党を通すことなく政治に参画しようというのか。

 それほどまでにドイツにおいて政治の劣化が著しい。

駄々をこねた外相

 特にSPDの醜態は見る者に思わず目を背けさせるほどだ。ジグマール・ガブリエル外相が、SPDが連立交渉で獲得した「獲物」を前に、自分は外相ポストを離れるのは嫌だと駄々をこねた。外相に予定されていたマルティン・シュルツ前党首は外相就任を辞退したが、ガブリエル外相はシュルツ氏を党首兼大統領候補に推した当時のSPD党首である。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。