カタルーニャ「独立」を戦う「諧謔」という武器

執筆者:大野ゆり子2018年3月13日
カタルーニャ州へ向けて、ベルギーからメッセージを送るプチデモン前州首相(『catalannews』HPより)

 

「知事」という仕事は、その土地にいなくても、テクノロジーの発展した現代なら、スカイプやメールを使えば務まる。つまり海外からでも拘留中の刑務所からでも、執務は可能だ――もしこう主張して、県外から県政を行おうとする県知事がいたら、日本ならばマスコミからバッシングを受け、県民からも総スカンを食うだろう。そんな論理は日本だけではなく、世界中のどこであっても支持者の心をつかむことはできないはずだ。だが唯一の例外がある。そう、現在のカタルーニャである。

スカイプで出席という「奇策」

 昨年末にスペイン中央政府主導で行われた州議会選挙は、独立支持派3党が多数を占める結果に終わった。しかし、州知事候補の擁立は容易ではない。何しろ、独立右派の名簿筆頭候補のカルレス・プチデモン前州知事はベルギーに事実上「亡命中」だし、もう一方の独立左派の筆頭候補ウリオル・ジュンケラス前副知事は、獄中である。そしてマリアーノ・ラホイ・ブレイ中央政府首相は、独立派の知事が選ばれる限り、スペイン憲法155条を適用して、カタルーニャの自治権停止を続けることを明らかにしているのだ。

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