金正恩党委員長(左)とトランプ大統領――それぞれの個性が引き付けあったのか (C)AFP=時事

 

 ドナルド・トランプ米大統領が3月8日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と5月までに首脳会談を行うと表明し、世界に激震が走った。実現すれば史上初めての米朝首脳会談であり、朝鮮半島のあり方を大きく転換させる可能性がある。

 トランプ大統領は、金党委員長からトランプ大統領へのメッセージを持って訪米した韓国の特使団一行に明らかにした。わずか2日前の3月6日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金党委員長が4月末に板門店で南北首脳会談を開催することで合意した、という発表があったばかりだった。朝鮮半島情勢は予想を超えたスピードで動き出した。

 トランプ大統領と金党委員長は互いに相手を「小さなロケットマン」「老いぼれ」と非難し、軍事的な衝突の危険性も指摘されていたが、何がこの急進展を生み出したのだろうか。

 北朝鮮の体制の存続をかけた危機突破戦略、トランプ大統領の予想外の決断、韓国の仲介外交が生み出した「ガラス細工」のような米朝首脳会談。日本の安倍晋三政権を取り残して激流に乗った朝鮮半島情勢を検証する。

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