巨人の老川祥一オーナーが野球賭博問題でファンに頭を下げたのは、2016年3月のこと。わずか2年で「野球クジ」の導入に舵を切るとは……。右は高橋由伸監督 (C)時事

 

 2015年、超党派で作るスポーツ議員連盟が唐突に野球クジ導入を提案し始めたとき、野球界は否定的、実現はないだろうという空気が大勢だった。実際このときは、全球団によるオーナー会議で野球クジ導入が否決されている。何しろ、巨人の現役選手だった笠原将生投手らが、野球賭博に関与していた事実が発覚し、「無期失格」処分を受けてまもない時期でもあった。

 それでなくても野球界は、『黒い霧事件』(1969年~1971年)という衝撃的な教訓を抱えている。複数の選手が八百長に関与し、永久追放処分などを受けた事件。以来、球界は賭博および反社会勢力との関わりを厳しく戒め、遠ざけてきたのだ。

 ところがつい先日、「野球クジが2020年春にも導入される見込み」「12球団はおおむね了承。特に反対する球団はない」とのニュースが流れた。どうやら2017年5月、スポーツ議員連盟の一員でもある遠藤利明元五輪相が、NPB(日本野球機構)に再検討を要請、水面下で検討を重ねていたNPBは、「導入」に舵を切ったらしい。NPBが積極的に受け入れる姿勢に転じれば、野球クジ実現への動きは一気に加速する可能性が高い。

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