トランプ大統領は、グローバリズムを体現するリーダーではない (C)AFP=時事

 

 共同通信社論説委員長の杉田弘毅氏が上梓した『「ポスト・グローバル時代」の地政学』(新潮選書)に、ますます注目が集まっている。長年国際報道の第一線に立ち続けた杉田氏が、「地政学」と「怒り」というキーワードで、現在そして未来の国際社会を読み解いたという労作だ。

 杉田氏は1957年生まれ。一橋大学を卒業後共同通信社に入社し、テヘラン支局長、ニューヨーク特派員、ワシントン特派員、ワシントン支局長を務めるなど、豊富な取材経験に裏打ちされた確かな目が、この本の隅々にまで行き届いている。

 そんな杉田氏に、この本の狙いについて話を聞いた。

新しい時代の到来

 私はこれまで30年、記者として国際情勢の取材を続けてきました。そこで得た結論が、この『「ポスト・グローバル時代」の地政学』で詳細に論じた、「地政学」と人間の「怒り」が相互に作用し合って世界を動かす、新しい時代が到来したという認識です。

 ではその地政学とはそもそも何か。これは19世紀後半にヨーロッパで盛んになったもので、地理や地形、自然環境、資源など人間の知恵をもっても変えられない不変の要素を基に、政治や戦略を分析し立案していくというものです。

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