図1:東京都および政令指定都市における住民1人あたりのGDP(単位百万円)

 

 国際競争力の低下、地方都市の衰退。我が国の前途は暗い。

 この問題に対処すべく、安倍政権は大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略をコアとした「アベノミクス」を推し進めてきた。その目的はデフレからの脱却と富の拡大だそうだ。

西高東低の配置

「アベノミクス」には、我が国を活気づける一定の効果はあったと思う。ただ、この政策には長期的な視点が欠如している。それは、教育投資がなおざりとなっているからだ。むしろ、教育業界においては規制が強化され、利権を産みかねない状況だ。

 たとえば、2月6日に閣議決定された東京23区内の大学の定員抑制だ。大学は優秀な学生を獲得するために競争することで、レベルが向上する。大学経営者にとって最大の脅威は新規参入だ。今回の規制の結果、東京23区内の大学経営者は「ぬるま湯」の中で利権のおこぼれにあずかることができるようになった。業界団体は喜ぶが、国民は不幸だ。競争なくして、大学のレベルアップはないからだ。

 新規参入の規制が停滞を生んだ具体例を、医学部でご紹介しよう。

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