「愚か者」だが「共通性」がある2人が「新しい大国関係」を築くか(C)AFP=時事

 

 米トランプ政権が中国に仕掛けた貿易紛争は、米国にとって知財輸出の伸び悩みと中国の半導体産業の台頭への警戒が引き金になったことを(上)で解説した。では、中国はどう対抗するのか。その鍵は、米国産の大豆、原油、液化天然ガス(LNG)が握っている。米国の政権がどう変わろうと、この3つの1次産品こそ2020年代の米国の輸出、ひいては経済を支える商品であり、最大の購入者は中国であるからだ。1980年代以降の日米貿易摩擦では、日本は自らの購買力を利用して対米交渉を有利に導くことができず、半導体産業の衰退を招いた。中国が1次産品の購買力をどこまで使い切れるかが、米中貿易紛争の帰趨と中国産業の将来を決める可能性が高い。

3分野「黒字」の理由

 米国のモノに限った貿易収支の赤字は、2017年に8100億ドルにのぼった。品目を見ると鉄鋼、自動車、エレクトロニクス製品など工業製品の大部分と農産物・食品、日用雑貨まで赤字の商品分野ばかりが並ぶが、いくつか輸出超過が目立つ商品がある。穀物と食肉、家畜用飼料だ。米国はこの3分野で世界最大の輸出国であり、2016年に穀物では136億ドル、食肉では75億ドル、家畜用飼料では85億ドルの黒字を稼いだ。ほかの農産物・食品では野菜・果物から乳製品、水産物、飲料(ワインなど)まで軒並み赤字だけに、この3分野は目立つ。なぜ、穀物、食肉、家畜用飼料は黒字なのか。

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