「韓国芸術団」を受け入れた金正恩の「真意」

執筆者:西岡省二2018年4月12日
4月3日、平壌・柳京鄭周永体育館で開催された韓国芸術団の公演。チョー・ヨンピル、ソヒョン、K-POPグループ「レッドベルベット」の姿も見える。バックには「われわれは1つ」の文字が (C)AFP=時事

 

 韓流に触れた少年たちを処罰している北朝鮮が、発禁であるはずのその「南朝鮮」の音楽を持ち込んだ。首都・平壌で4月1日、3日の両日開かれた韓国芸術団の公演では、朝鮮民族の情緒あふれる楽曲にまぎれてK-POPミュージックが“お披露目”され、最高指導者もそれを楽しんだ。北朝鮮はなぜ「非社会主義的」「資本主義遊び人風」の旋律を住民たちに聴かせたのか。

南北で異なる音楽の位置づけ

 韓国と北朝鮮は、同じ民族でありながら音楽に対する考え方が大きく異なる。

 日本などと同様に、韓国の音楽は当然のごとく自由な発想で作られ、発信できる。だが、北朝鮮では音楽と政治を絡める「音楽政治」が進められ、ごく少数を除いては、音楽は政治宣伝(プロパガンダ)に使われる。国内で作られる歌詞には金王朝や朝鮮労働党を讃える内容が盛り込まれ、発表前に当局の承認を受けなければならない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。