”黒田バズーカ”は正念場を迎える(C)EPA=時事

 

 続投が決まった黒田東彦・日本銀行総裁だが、その行く手には難題が山積している。特に、自らが「異次元の金融緩和」と命名した未曽有の政策からの正常化(いわゆる出口戦略)が大きな課題だが、そこで最大の難点となるのが、これまで買い入れたETF(株価指数連動型上場投資信託)をどのように処理するのかという問題だ。

 日銀がETFの買い入れを開始したのは、2010年の白川方明総裁時代。この時、日銀は株式市場のリスクプレミアム縮小をETF買い入れの理由とした。つまり、リスクの大きい株式投資を日銀がETFを買い入れることでリスクを小さくし、投資を活発化させようとしたのだ。当初は、年間4500億円の買い入れ額でスタートした。

 そして2013年3月に黒田氏が総裁に就任すると、同年4月から始まった異次元緩和でその買い入れ額は年間1兆円に増額される。さらに、2014年10月の追加金融緩和で年間3兆円、2016年7月には現在の年間6兆円にまで引き上げられた。

 ETFの買い入れについて日銀は、「株価の上昇は、資産効果などを通じて個人消費を押し上げるほか、企業の資金調達環境やマインドの改善によって設備投資を促すことが期待できる」とした。

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