米英仏「シリア爆撃」は国際法違反なのか

執筆者:鈴木一人2018年4月27日
国際法上、「武力制裁」は国連安保理(写真)の決議がなければならないのだが (c)AFP=時事

 

 米東部時間の4月14日、米英仏によるシリアへのミサイル攻撃は国際法上違法であると訴えるロシアによって、国連安全保障理事会が招集された。安保理ではミサイル攻撃の合法性を巡る議論が展開され、ロシア提案の米英仏非難決議が投票にかけられたが、ロシア、中国、ボリビアの3カ国しか賛成せず、過半数に達しなかったため、決議は採択されなかった。

 なぜロシアは、シリアへのミサイル攻撃の違法性を訴えたのに3票しか賛成を集められなかったのか、そもそもあのミサイル攻撃には合法性があったのか、について論じてみたい。

強く疑われる「違法性」

 ロシアが、米英仏によるシリアの化学兵器関連施設へのミサイル攻撃を国際法上違法だと主張したのは、単にアサド政権を擁護するためだけではなかった。もちろんこれまでも、シリアにおける化学兵器使用の調査を行うという決議案に対して拒否権を行使するなど、シリア関連の投票では12回も拒否権を行使してきたロシアだけに、今回もアサド政権擁護の色彩は強い。

 しかし今回に関しては、ロシアの主張にも一理以上のものがある。

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