安倍晋三首相と金正恩党委員長(右)が、こんな形式で話し合う日は来るのか(左は文在寅大統領)[KCNA VIA KNS](C)AFP=時事

 

 今回の南北首脳会談で非核化、朝鮮半島の平和定着と並んで議論されたのは、南北関係の改善であった。興味深いのは、「板門店宣言」で、南北間で関心の高い開城工業団地、金剛山観光、南北交易の再開について触れられなかったことだ。これらは国連安全保障理事会での経済制裁に触れる可能性が高いため、核問題の解決に目途が立たない状況では「画に描いた餅」であったからだ。しかし、将来の課題としても宣言で言及しなかったことは、南北の核問題への認識が厳しいことの反映だった。

南北首脳会談の定例化

 南北は「板門店宣言」で、南北首脳会談の定例化への努力を確認し、その手始めとして、文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領が今年の秋に平壌を訪問することで合意した。前回の首脳会談を行った盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は任期終了のわずか約5カ月前の首脳会談だったため(2007年10月)、合意事項をほとんど履行できなかった。

 金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(党委員長)が今回の首脳会談でしきりに強調したのは、いくら合意しても履行されなくては意味がない、ということだった。これは「10.4宣言」で、盧武鉉政権が多くの経済協力で合意したものの、ほとんど履行されなかったことへの不満表明だった(核問題などでは、北朝鮮によって合意が反故になっていることへの指摘や謝罪もなく、一方的にこう言うのもどうかとは思うのだが)。

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