どういう「政治判断」をくだすか(河野太郎外相を表敬訪問したサウジのファーレフ・エネルギー相(外務省HPより)

 

 油価を決定するのは、将来の需給バランスがどうなるかという点について、市場参加者がどう読むかだ、というのが筆者の基本的視座だが、現実がそれを見事に示している。

 5月8日のドナルド・トランプ大統領の「イラン核合意からの離脱」声明発表後、記者会見したスティーブン・ムニューチン財務長官は、「油価はこれ以上上昇しない。すでに織り込み済みだ」と語ったことは昨日の前項(2018年5月10日「米国『イラン核合意』離脱で石油価格は『上がる』のか」)でも触れたが、昨日(米時間5月9日)、油価は2ドル以上も上昇した。前日比、「NYMEX」のWTI原油は2.08ドル高の71.14ドル、「ICE」のブレント原油は2.36ドル高の77.21ドルという終値をつけた。

「制裁を行う」との声明を出したからといって、足元の需給バランスが急変した訳ではない。ムニューチン財務長官が繰り返し強調していたように、米国のイラン原油輸出に関する経済制裁は、イラン側が米国の望む反応を示さない場合、「180日後」に発動されるのであって、今すぐではない。だが市場は、今年第4四半期には20~100万BD(バレル/日量)の供給減になると「読んで」、いま買い上がっているのだ。

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