独立宣言から半年 コソボの現在と将来

執筆者:竹田いさみ2008年8月号

 日本からヨーロッパの主要都市には、直行便なら十二時間程度で到着する。直行便がなく、ロンドン、パリ、ウィーン、フランクフルトなどでの乗り継ぎ便を利用したとしても、十六時間もあれば事足りる。ところがヨーロッパでも、日本からまる二日かかる都市がある。それはプリシュティナ。今年二月、旧ユーゴスラビアのセルビア共和国から、ロシアの強硬な反対を押し切って、一方的に独立を宣言したコソボ共和国の首都だ。 日本からプリシュティナへの飛行プランで、最も確実で効率がよいのは、オーストリアの首都ウィーン経由で入るルートだろう。オーストリア航空の便が毎日就航している。ウィーン到着当日にプリシュティナ行きフライトに接続できないため、一泊しなければならないが、かえって喜ぶ乗客も多いはずだ。 これ以外では、トルコのイスタンブールを経由して、空路でマケドニアの首都スコピエに入り、そこから陸路で入るルートもある。だが、この陸路が曲者だ。幹線道路は一本道なので迷うことはないが、コソボ駐留のNATO(北大西洋条約機構)軍が陸送ルートとして使っているため、食料、飲料水、生活必需品などを満載した軍用トラックの長い車列(コンボイ)に遭遇する可能性がある。筆者もこの目で見た。そうなったらコンボイの後をひたすら走るしかなく、二時間もあれば到着できるところを数倍の時間がかかることとなる。マケドニア経由を希望する者は少ない。

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