インドネシアで頻発「家族テロ」の衝撃と対策

執筆者:川村晃一2018年5月24日
自爆テロが起きた3つの教会のうち父親が襲撃したスラバヤ中央ペンテコステ教会 (C)AFP=時事

 

 5月13日にインドネシアのスラバヤ市で発生した自爆テロ事件に、人々は強い衝撃を受けている。日曜日朝のミサで多くの信者が集まっていた3つのキリスト教会を狙った同時多発テロで、一般人の死者7人、負傷者40人以上を出す惨事となった。イスラーム過激派によるテロ事件は毎年数件ずつ発生してはいたものの、最近はテロを取り締まる警察への恨みから警官を狙った小規模な事件が続いていたため、多数の民間人の犠牲者を出したテロは2009年以来である。

 スラバヤは東ジャワ州の州都で、同国第2の規模の大都市であるが、治安の良い街であった。これまでテロが発生したことのなかったスラバヤで事件が発生したことも人々を驚かせた。

 しかし、最も衝撃だったのは、この自爆テロの犯人が、子供を含む一家族だったことである。17歳と15歳の兄弟、12歳と8歳の姉妹と42歳の母親、そして46歳の父親がそれぞれ爆弾を抱えて、3つの教会を襲撃したのである。女性が自爆テロを起こしたのはインドネシアでは初めてであるばかりでなく、子供4人までもがテロの加害者となった事実に、多くの人がやりきれない気持ちを抱いている。

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