タリバンに襲撃されたアフガニスタン南部ガズニ州フワジャ・オマリ郡庁舎の警戒に当たる治安部隊。2018年4月 (C)AFP=時事

 

 2001年の9.11テロの後に米国が侵攻したアフガニスタンは、対テロ戦争の時代の幕開けを告げた国である。2001年にタリバン政権は一気に崩壊した。だが、その後のアフガニスタンはどうなっているのか。日本のメディアでは、ほとんど報じられていないのではないだろうか。

2001年以降最大規模となった「タリバン」

 実は2001年以降も、戦争はずっと続いている。主要な構図は、アフガニスタン政府と米国及びNATO(北大西洋条約機構)軍と、タリバン勢力の間の戦いだが、現在、タリバンが2001年以降では最大の規模にまで勢力を拡大させ、さらに戦況は悪化の一途をたどっているのだ。

 バラク・オバマ政権時代の2014年、米軍は予定された撤収を完遂させた。実際には、訓練などの名目で8500人ほどの兵士を残したのだが、それでも米軍撤収は、タリバンや「イスラーム国」(IS)などが勢力を拡大する機会とするには十分な状況を生み出した。

 今や政府が実効統治しているのは、全国407地区のうち220地区にとどまるという報告が、公式になされている。つまりタリバンが、国土の半分近くを掌握しているということである。しかも、今この瞬間も、タリバンはいくつかの主要都市に大規模な攻撃を仕掛けている。州都レベルで7つもの州都が、陥落の危機に瀕しているとも報じられている。

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