5月26日、板門店で南北首脳会談を行い、抱擁する金正恩党委員長(左)と文在寅大統領 (C)AFP=時事

 

 北朝鮮はドナルド・トランプ米大統領の「米朝首脳会談中止」発表に慌てて、翌日の5月25日朝に金桂冠(キム・ゲグァン)第1外務次官の談話を発表し、米国に会談中止を再考するよう求めた。その時点で金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は平壌を離れて元山にいたと見られる(2018年5月28日「急転直下の『米朝首脳会談』(上)トランプ『瀬戸際外交』に金正恩の『焦り』」参照)。

元山→平壌→板門店の「動線」

 金正恩党委員長は韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領に5月25日午後、「一切の形式抜きで会いたい」と急遽、提案した。そして元山から平壌に戻り、翌26日に板門店に向かって、文大統領との南北首脳会談に臨んだ。

 北朝鮮からの第4回南北首脳会談の提案は当初、南北間に新設された首脳間のホットラインでなされたのではと見られたが、そうではなかった。これは金党委員長が平壌にいなかったという事情もあったからだと思われる。ここでもこれまで、節目節目で重要な役割を果たしてきた韓国の徐薫(ソ・フン)国家情報院長と北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)党統一戦線部長間の、情報機関同士の意思疎通ラインが稼働した。

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