6月10日、シンガポール・パヤレバ空軍基地に到着したトランプ米大統領。情報戦争はすでに始まっている (C)AFP=時事

 

 シンガポールの米朝首脳会談。陰の主役は中国だ。中国の習近平国家主席は、3月8日にドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働委員長からの会談要請に2つ返事で同意して以後、北朝鮮との接触を急速に拡大してきた。

 米朝首脳会談開催でキーマンとなったマイク・ポンペオ米国務長官(前米中央情報局=CIA=長官)は過去2回訪朝したが、なぜかその2回とも、直前の3月25~28日と5月7~8日と、巧みに金委員長の訪中が急きょ組み込まれていた。ポンペオ訪朝は3月31日~4月1日と5月9日だった。また、北朝鮮高官らを中国ハイテク施設に招いたりもした。

 明らかに中国は、地政学的に米朝接近を警戒している。米企業の北朝鮮進出も気になる。本番の首脳会談には多くの米朝高官がシンガポールに集結する。この機会に、彼らの本音を探ろうとするのは当然だ。

記念バッジに盗聴マイク

 米朝の先遣隊は現地ですでに、さまざまな通信傍受の防止やスパイの現地入りを警戒する「防諜対策」を進めたに違いない。

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