仏ルペンが企画した「国家の祭典」で演説する「オーストリア自由党」事務局長ヴィリムスキ。「イスラム主義」を糾弾した (筆者撮影、以下同)

 

 4月末に訪れた南仏ニースは、地中海を越えてアフリカ大陸から吹き付ける強風にさらされていた。憧れの高級保養地だけあって、世界から集まった観光客のフランス語、英語、イタリア語、中国語が飛び交う街である。

 海沿いに整備された遊歩道「プロムナード・デ・ザングレ」を、ランヴァル財団子供病院前の147番地からカジノ横の11番地まで歩く。片道約2キロあり、1時間かけて往復したら軽く汗ばんだ。すれ違う人々は初夏のいでたちで、そぞろ歩きを楽しみ、ジョギングに汗を流し、道端のベンチで語り合う。静かで平和な光景だった。

 2016年7月14日夜、遊歩道のこの2キロを、19トントラックがわずか4分ほどで駆け抜けた。フランス革命記念日の花火大会見物に集まっていた人々は、次々となぎ倒された。犠牲者は86人。史上最大級の殺人といわれるこの事件で、トラックを運転していたチュニジア人モハメド・ラフウェジ=ブフレル(当時31)は警官隊との銃撃戦の末に射殺された。過激派組織「イスラム国」が犯行声明を出した。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。