「AI」と人類の未来はどうなるのか(下)

『ダ・ヴィンチ・コード』作者ダン・ブラウン初来日講演

執筆者:フォーサイト編集部2018年6月22日
待望の新作の舞台はスペイン
 

 新作『オリジン』のリサーチをするにあたって、AI(人工知能)の分野で活躍している科学者にいろいろと話を聞きました。多くの人は、ある日、AIのロボットができて、意識を持つようになり、自己認識するようになるというふうに思っています。

 そこでちょっと考えてみたんです。自己認識型のAIロボットをつくり、それを暗闇に放置したとします。誰につくられたのか、なぜつくられたのかという情報を一切与えず、我々が、地上に住む人間が無の空間を彷徨うように、デジタル空間を勝手に彷徨わせたらどうなるんだろう。このAIロボットは、自分はどうしてここにいるのだろうということを問い始めるでしょうか。創造主に対する好奇心を持ち始めるでしょうか。あるいは、どのようにして自分がつくられたかということを説明するために、歴史とか神話をつくってしまうのでしょうか。

 つまり、意識のあるAIロボットをつくって、なんでつくられたのかということを教えなかったならば、その機械はそれを知りたがるのか。知りたがるとしたならば、意識の副産物の1つとして、創造主はやはり定義しなくてはならないのだということになるのか。人工的な知能ですら、創造主を知ることを切望するあまり、創造主を知らないということを認めるよりも、つくり話を仕立てるのかどうかということです。

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