「いったいあの騒ぎは何だったのか」。金融関係者は呆れたように口をそろえる。昨年十一月に包括提携を発表した住友信託銀行とあおぞら銀行の関係が急速に冷えこんでいるからだ。両行は広範囲の業務提携で合意したが、現実には「ほとんど提携の実が上がっていない」(住友信託幹部)。 そもそも、提携当初から両行の間にはミゾがあった。営業基盤が見劣りし銀行界ではジリ貧のあおぞら銀に住友信託が手を差し伸べるという救済色が強かったが、あくまで業務提携との認識の住友信託とは対照的に、あおぞら銀は「いずれは資本関係を含めた経営統合も」と前のめりだった。 両行の不和を決定的にしたのは、あおぞら銀が農林中央金庫から三顧の礼でトップに迎えた資産運用のプロ・能見公一CEO(最高経営責任者)を、あおぞら銀の筆頭株主である米サーベラスが今春、事実上の解任に追い込んだこと。後任となったフェデリコ・サカサ社長以下、あおぞら銀の経営陣がサーベラスに牛耳られる臭いをかぎ取った住友信託は態度を硬化させた。 あおぞら銀の業績の落ち込みにも歯止めが掛からない。金融庁は、公的資金投入行であるあおぞら銀の昨年度の業績が業務改善計画の基準に達しなかったとして、今年七月に業務改善命令を出している。

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