気になる急接近(C)AFP=時事

 

 EU(欧州連合)にとって、トランプ政権の「米国第一主義」の政策が大きな懸念材料となっている。NATO(北大西洋条約機構)防衛費分担問題、鉄鋼・アルミ製品高額関税問題、イラン核合意からの離脱、在イスラエル米国大使館のエルサレム移転など、いずれも物議を醸しだしている。

 なかでもここにきてより直接的で喫緊の難題として浮上しているのは、米国とEUはじめ先進国、中国との「関税戦争」だ。その展開の中で、EUの重要なパートナーとして中国の存在が大きくなっている。6月25日まで4日間、エドゥアール・フィリップ仏首相が訪中し、同日は「第7回EU中国経済貿易ハイレベル対話」も開催された。

 ドナルド・トランプ大統領は従来から、アメリカにとっての「公正な取引」のため、その手段として保護主義政策を標榜していた。ビジネスマンであるトランプ大統領にとって、「アメリカ・ファースト」の最大の眼目はこの点にある。

 6月9日にカナダで開催されたG7首脳会議では、トランプ大統領が声を荒げて、「米国はもう何十年も、便利に使われてきた」、「みんなが金を盗み続ける『貯金箱』のように扱われてきた」という持説を展開した。このG7では日欧加いずれもアメリカに対する批判的姿勢では一致したが、「ルールに基づく国際秩序」、「自由、公平で相互利益になる貿易と投資は(中略)成長と雇用創出の主要原動力」「関税障壁、非関税障壁の削減に向けて努力する」ことを確認しあうのがやっとだった。

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